スペシャルティコーヒー辞典:ケニアのコーヒー

近年、スペシャルティコーヒーの業界に置いて、特徴的なテロワールを持つコーヒーとして、エチオピア産、インドネシア産と並んで、ケニア産にも注目が集まっています。
ヨーロッパで多く流通し高級品として知られていましたが、サードウェーブコーヒーのブームと共に知名度を上げ、日本国内でも取り扱う店が増えました。
ケニアのコーヒーが持つ2面性
爽やかな酸味のケニア
ケニアのコーヒーは、カシスの風味や、グレープフルーツを思わせるシャープな酸味があります。浅煎りで仕上げると、この酸味が前面に出て、まるでフルーツジュースのような明るいコーヒーになります。
サードウェーブ系のカフェでは、この酸味を売りにして、浅煎りでケニアを出す所が多いです。サードウェーブ系を代表する某カフェでは看板メニューです。サードウェーブコーヒー系を通じてケニアを知った方は、「ケニアといえば酸味!」と認識されているかもしれません。
実はこのケニア、焙煎度によって表情をガラッと変えます。
力強さと甘みのケニア
中煎りくらいまでは強い酸味が主役のコーヒーですが、中深以上で煎ると強烈な酸味がほどよく抑えられ、うっとりするような芳香、力強い苦味やコク、優しい甘みが前面に出てきます。
そしてアフリカのコーヒーらしい、スパイシーで複雑な味わいを持つコーヒーに生まれかわります。余韻も後をひき、しばらくの間、幸せな気分に浸れるコーヒーです。
ケニアを飲む時は焙煎度に注目
このケニアの焙煎度による変化は劇的です。どちらのコーヒーを美味しいと思うかは好みによると思いますが、飲み比べてみると、驚きを覚えると思います。カフェでケニアを飲んだり、ケニアの豆を購入するときは、その店のケニアがどの程度の焙煎度か気にしてみてください。楽しみがひとつ増えると思います。
ケニアコーヒーの等級
「AA」とは?
ケニアコーヒーの商品名を見ると、「AA」やら「AB」やらアルファベットがついていることがあります。これは等級を表しています。
ケニアのコーヒー豆は、コーヒーチェリーの大きさで等級分けがされています。大きいほど品質が高いとされ、7.2mmの篩にかけて残った大粒のコーヒーチェリーには、最高ランク「AA」が付きます。もう少し小さいチェリーが混じると「AB」という、ひとつだけ下の等級になります。国内で見かけることが多いのは、「AA」もしくは「AB」くらいまででしょうか。
「AA」も「AB」も、どちらも高品質に変わりはないのですが、焙煎士の立場から言えば、「AA」のほうが豆のサイズが揃っていることもあり、煎りムラが少なく仕上げられるので、使いやすいです。
特に前述の、深めの焙煎をしたケニアを楽しみたい場合は、「AB」だと、小さい豆だけローストが進みすぎてしまい、苦味が強くなるので、「AA」の豆の方がオススメです。
Blackhole Coffee Roasterでは、「AA」の豆を中深煎りまで焙煎しています(ケニア クオコア・テンボ AA)。心地よい芳香、豊かな苦味、優しい甘さ、そしてどこまでも続く余韻を堪能できるコーヒーです。
オススメの飲み方
焙煎度によって味わいが変わるためオススメの飲み方も変わりますが、ここでは中深煎り以上を前提とします。
まずは、そのままブラックはいかがでしょう。コーヒーを口に含んで、鼻から空気を抜いてみてください。心地よい芳香にうっとりできます。温度が高いと苦味が先に来ますが、徐々に温度が下がってくると隠れていた甘みや酸味が顔を出します。温度変化による味わいの変化をお楽しみください。
強い個性を持っているので、ミルクとの相性も良いです。ミルクの持つ脂肪分の甘さが引き立ちます。砂糖などで甘さを補わなくても、充分に甘いコーヒーになります。
またアイスコーヒーにもオススメです。ドリップなどで濃い目に淹れて、氷で急冷すると、苦味がガツンときて、シャキッとした気分になれます。
アイスの場合、ドリップではなく、コールドブリュー(水出し)もオススメです。こちらは苦味が抑えられ、スッキリ感が前面に出てきます。そして口に含んだときの芳香が際立ちます。
Blackhole Coffee Roasterでは、ケニアのコールドブリュー(水出し)コーヒーパックを販売中です。手軽に誰でも、本格的なコールドブリューが楽しめるパックです。ぜひホットで淹れた場合と比較して頂きたいです。
まとめ
テロワールを強く醸し出すケニアは、スペシャルティコーヒーを語る上で、外せないコーヒーです。焙煎度の違いで味わいが劇的に変化し、時には明るいフルーツジュースのような味わいを、時にはアフリカらしい複雑でスパイシーな味わいを楽しめるコーヒーです。
スペシャルティコーヒーの奥深さを堪能するために、色々な焙煎度のケニアを飲み比べてみると楽しいかもしれません。
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